
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律5条に定める公益認定基準は、以下のとおりです。
1 目的や事業に関するもの
(1) 法人の主たる目的(1号)
公益法人は、公益目的事業を行うことを主たる目的とするものでなければなりません。
(2) 経理的基礎及び技術的能力(2号)
公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものでなければなりません。
(3) 法人の関係者への特別の利益供与(3号)
事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人その他の当該法人の関係者に対し、特別の利益を与えないものであることが求められます。
(4) 個人・団体等への特別の利益供与行為(4号)
法人が事業を行うに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであることが求められます。
(5) 公益法人としてふさわしくない事業等(5号)
公益法人は、投機的な取引、高利の融資その他の事業であって、公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくないものとして政令で定めるもの又は公の秩序若しくは善良の風俗を害するおそれのある事業を行ってはなりません。
(6) 公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれ(7号)
収益事業等(公益目的事業以外の事業)を行う場合には、収益事業等を行うことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであることが求められます。
2 財務に関するもの
(1) 中期的収支均衡(6号)
公益目的事業に係る収入をその実施に要する適正な費用に充てることにより、中期的期間にその収支の均衡が図られると見込まれるものでなければなりません。
(2) 公益目的事業比率(8号)
公益法人は、法人が行う事業のうち、公益目的事業の比率が100分の50以上となると見込まれるものでなければなりません。
(3) 使途不特定財産額の保有制限(9号)
法人が事業活動を行うに当たり、使途不特定財産額が所定の額を超えないと見込まれるものでなければなりません。
3 機関に関するもの
(1) 同一親族制限(10号)
各理事について、特別利害関係にある理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えてはいけません。
(2) 同一団体制限(11号)
他の同一の団体の理事又は使用人である者その他これに準ずる相互に密接な関係にあるものとして政令で定める者である理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えてはいけません。
(3) 特別利害関係の排除(12号)
各理事について、監事(監事が2人以上ある場合にあっては、各監事)と特別利害関係を有しないものであることが求められます。
(4) 会計監査人の設置(13号)
損益計算書(活動計算書)に計上した収益の部の額が100億円以上、費用及び損失の部に計上した額が100億円以上、貸借対照表の負債の部に計上した額が50億円以上のいずれかに該当する法人は、会計監査人を設置しなければなりません。
(5) 役員等の報酬等の支給基準(14号)
理事、監事及び評議員に対する報酬等について、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めなければなりません。
(6) 外部理事(15号)
理事のうち1人以上が外部理事でなければなりません。
(7) 外部監事(16号)
監事のうち1人以上が外部監事でなければなりません。
(8) 社員の資格喪失に関する条件等(17号)
社員の資格の得喪に関する基準として、公益社団法人については、次の3つのいずれにも該当しなければなりません。
① 社員の資格の得喪に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること。
② 社員総会において行使できる議決権の数、議決権を行使することができる事項、議決権の行使の条件その他の社員の議決権に関する定款の定めがある場合には、その定めが次のいずれにも該当するものであること。
ア 社員の議決権に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをしないものであること。
イ 社員の議決権に関して、社員が当該法人に対して提供した金銭その他の財産の価額に応じて異なる取扱いを行わないものであること。
③ 理事会を置いているものであること。
4 財産に関するもの
(1) 株式等の保有制限(18号)
公益法人は、他の団体の意思決定に関与することができる株式その他の財産を保有してはなりません。
(2) 不可欠特定財産の維持及び処分の制限(19号)
公益法人に不可欠特定財産(公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産)があるときは、その旨並びにその維持及び処分の制限について、必要な事項を定款に規定する必要があります。
(3) 公益目的取得財産残額の贈与(20号)
公益認定の取消しの処分を受けた場合又は合併により法人が消滅する場合において、公益目的取得財産残額があるときは、これに相当する額の財産を当該公益認定の取消しの日又は当該合併の日から1月以内に類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは次に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与する旨を定款で規定しておかなければなりません。
① 学校法人
② 社会福祉法人
③ 更生保護法人
④ 独立行政法人
⑤ 国立大学法人
⑥ 大学共同利用機関法人
⑦ 地方独立行政法人
⑧ その他①から⑦までに掲げる法人に準ずるものとして政令で定める法人
(4) 残余財産の帰属先(21号)
公益法人が清算をする場合において、残余財産を類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは上記「(3) 公益目的取得財産残額の贈与(20号)」の①から⑧までに掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に帰属させる旨を定款で規定しておかなければなりません。



